夕霧千尋の人生日記

大学生→社会人が小説・ゲームその他など自分の好きなことを書き綴ります

グアムの探偵 「ガンビーチ・ロードをたどれば」

みなさんこんにちは。夕霧千尋です。本日はグアムの探偵の話の一つを紹介したいと思います。おそらくグアムの探偵の中で最もレイが命の危険にさらされた回なのではないでしょうか。

 

 

「ガンビーチ・ロードをたどれば」


このはなしは2巻の2話に掲載されている。ガンビーチとはタモンの穴場スポット。旧日本軍の砲台(ガン)がのこっていることからガンビーチと言われる。


「これから新たな人生を踏み出すんだから、ありったけの希望を信じないとね」

 

<以下、ネタバレ注意>


<あらすじ>
イーストマウンテンリサーチ社に館川結衣という女性がやってきた。彼女はガンビーチで遊んでいたところ、財布とパスポートを盗まれてしまったという。現場であるガンビーチに結衣とともにやってきたレイだったが、その場にデニスも1組のカップルと共に現れる。カップルのうち、女性の方が財布の置き引きに遭ったという。さらにゲンゾーが3人の中年男性と共にビーチに現れる。彼らの内の一人がまたしても財布を盗まれたという。捜査を続けるレイたちだが、そこに思わぬ知らせが入る。なんと彼らの財布とパスポートが海軍基地の中で見つかったというのだ。犯人は一体誰なのか。


<登場人物>
・レイ・ヒガシヤマ
イーストマウンテンリサーチ社の三代目。今回は事務所を訪れた結衣に好意を持っているような描写がある。(デニスとゲンゾーにまだ恋人を連れてこないのかとか結衣のようにきれいで心の優しい人はいないなどと冷やかされたこともあるが)一方で正式な依頼人でないとはいえ事務所を頼ってきた結衣の弱みに付けこむようなことを言うデニスとゲンゾーには軽蔑の目を向ける。


・デニス・ヒガシヤマ
イーストマウンテンリサーチ社の副所長。カップルの女性側が財布を盗まれたという相談を受け、彼らと共にビーチにやってきた。愛車はジープ・チェロキー。ゲンゾーの冷やかしにレイが反論した際はゲンゾーはあくまで職務上のルールを守ったうえで結衣との関係を考えろと言っているだけとレイに反論した。つまりレイと結衣をくっつけたがっている様子でなんだかんだ息子の結婚を望む親バカの一面を見せる。レイからデニスやゲンゾーを見ていると結婚はまだ先でいいと皮肉を言われたときはゲンゾーと同時に同じようないいぐさで反論した。中盤ではレイと共に海軍基地を訪れる。


・ゲンゾー・ヒガシヤマ
イーストマウンテンリサーチ社の所長。愛車はキャデラックCTS。三人の中年男性の内一人が財布を盗まれたという相談を受けて3人と共にビーチにやってくる。レイに対し、結衣をデートに誘ったのかと問うたり、励ましてやれなどとレイと結衣の関係を深めようとするこちらも祖父バカな一面を見せる。レイからデニスやゲンゾーを見ていると結婚はまだ先でいいと皮肉を言われたときはデニスと同時に同じようないいぐさで反論した。長い付き合いのイーノックから連絡を受け、デニスとレイを海軍基地へ向かわせる。

 

・ジェニファー
本人は登場していないが、来月にはイーストマウンテンリサーチ社を寿退社する所員。


・館川結衣(たてかわゆい)
ガンビーチで財布とパスポートを盗まれた日本人女性。抜群のプロポーションと人形のような瞳。すっきり通った鼻筋を持ち、モデルのようなルックスとレイに言われた。二十代前半。最初は警察に相談しようとしたが、英語がまるで話せなかったため、イーストマウンテンリサーチ社を訪れた。アウトリガーに宿泊している。探偵社を訪れる前にサービスセンターに電話し、クレジットカードの利用を停止させた。後に財布が見つかった際は嬉しそうな表情をしたが、財布の中に入れていたSDカードがなくなっていたことは残念そうだった。しかし、レイの見立てによるとSDカード以外に大切なものを失っているようだが・・・。


・足立祥平・望月美奈(あだちしょうへい・もちづきみな)
大学生のカップル。ガンビーチであそんでいたところ。望月の方が財布を盗まれた。結衣とは知り合いではないが、ビーチでは近くにいたため、顔を覚えていた。


・市井利昭・鎌田光一・廣瀬政明(いちいとしあき・かまたこういち・ひろせまさあき)
職場仲間で連帯感の強い三人。サングラスをかけた屈強な男である鎌田が財布を盗まれた。鎌田は見かけに似合わず小心者でがっくりときていた。三人そろって海に浸かってビーチボールで遊ぶなど年に似合わず可愛いことをやっていた。最初は財布を盗んだのはこの三人だったのではないかとレイとデニスは疑っていたが、ゲンゾーがこの三人を連れてビーチにやってきたことで三人も被害者であることが判明した。


イーノック
盗難事件を担当している警部。レイとも知り合いの警察官でこれまで登場した警察に比べ融通が利きレイたちに協力的。レイが結衣を総領事館へ連れていくと言ったのを聴いて、デートの申し込みかと冷やかした。後に海軍基地へ案内されたときは海軍基地内は警察の管轄外で捜査は軍が行うと言われ、不快感を露わにした。


・モグリッジ
銀髪に口髭の海軍少尉。基地内は警察や探偵が踏み込める場所ではないが、発見された財布やパスポートが盗難届の出ているデータと一致しているため確認のためのみに来てもらったということをくどくど説明した。レイやデニスが口にする推測を監視塔や巡回の兵がいるからありえないと否定した。


・ヌット
レイの顔なじみでガンビーチでバーを経営している。置き引き騒ぎがあったころに自分の店でいざこざが起き、その解決のため、ライフガードを呼んでいた。レイに頼まれてそのライフガードをレイに引き合わせた。


トーレス
ガンビーチでライフガードをしているボディビルダーのような全身ムキムキの男。ヌットのバーでいざこざを起こした男を店の外につまみ出したが、その際その男に逆上され、瓶で胸を殴られた。その後、ホテル日航の診療所へ連れていかれたが、何針か縫うケガをしていることが分かった。その時点で傷害届をだしてもよいのだが、本人はあんな軟弱野郎になぐられたぐらいで被害届を出すなどプライドが許さないと言った感じで男を店から追い出したことを勝ち誇っていた。後に財布の盗難について聞かれたが、その時間はちょうどバーのいざこざに対応しており、その男と財布泥棒が関わっているとは思ってなかったので何も言わなかった。


・ドーン・サマビル
海軍の二等兵。ヌットのバーでいざこざを起こした男。ひょろひょろとした体形で青い目をしたひげ面。バーに入る前から酔ったようにあちこちを歩いており、バーに入るとたんまり稼いだから今日は俺のおごりだと言ってわめきだした。その行為を観光客が多数を占めるこのバーでは変な目で見られ、挙句水着の女性客に抱き着いたため、トーレスを呼ばれ、店からつまみ出された。その際、トーレスに何針か縫うほどのケガを負わせた。

 

<財布が見つかったときの状況>
財布は海軍基地の中で3つ同時に結衣のパスポートと共に見つかったが、そこは基地のフェンスから250フィート(約75m)ほど離れた場所にきっちり揃えて置かれていた。ちょうどカメラに映らない場所だが軍関係者以外が基地の中に入れるはずもないので犯人は軍関係者に限定される。なお財布やパスポートと一緒に平らなスコップも置かれていた。スコップは軍用品だが一般にも普及している


<以下、さらなるネタバレ注意>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「あれだけ鍛えているからには経験したスポーツ種目も多いだろうと思ってた。直径2.5mの正円、草が踏み固められている。周りは空き地。円盤投げは普段から得意だったろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


トーレス
財布盗難事件の犯人。高いところに座ってビーチを常時監視し、ひとりきりで巡回も行うため、盗難を行うには最も適した立場であった。(おそらくだが、その手口からこれが初めてではなく常習犯の可能性が高い)財布を盗んだのちにバーのいざこざに対応していたらサマビルに瓶で殴られた。服装からその男が海軍関係者とわかったトーレスは彼に罪を擦り付けるため、金とカードを抜き取った財布をパスポートと共に揃えて円盤投げ用の円盤を入れるためのケースに入れて水で満たし、それを凍らせて円盤状にし、円盤投げの要領で海軍基地の中に投げ込んだ。スコップも要れたのは海軍兵士が証拠品を埋める直前で逃げたように見せかけるため。見張りの兵はいたが、一人がある区間を往復するだけだったので死角を突いて円盤状の氷を投げ入れた。250フィートも飛ばせば世界最高クラスの円盤投げ選手に匹敵するが、それは最初に着地する地点の場合。実際は一度着地した後弾んで30フィート(10m)ほど転がる。つまり実際に飛ばすのは200フィート少々でよい。そこまで飛ばなくとも証拠品は纏めて置いてあるため、外から投げ入れるのは到底不可能に見える。グアムは暑いので夜明けまでに氷は解けて水は乾く。地面は土なので音もほとんど聞こえない。上手くサマビルに罪を擦り付けたが庭に円盤投げ用の円を描いていたことでレイに円盤投げを想起され、犯行に気付かれた。家に強引押し入ったレイに対し、壁に強く叩きつけたり、殴りつけたり膝蹴りを食らわせるなど徹底的に痛めつけたが、レイに拳銃を奪われ、後頭部に銃口を突きつけられたうえで撃鉄を起こされたため、沈黙した。その後、パトカーが来るまでずっとレイに後頭部を銃で狙われていた。


・ドーン・サマビル
上官のモグリッジやアトキンズに詰められ、ビーチで起きたことを告白した。彼は元々貧困家庭に生まれ、教育や母の医療費のために借金をしていた。そのため軍に入隊し、グアムに派遣された。しかし、低賃金の軍の生活に嫌気がさしていた彼は規則を破ってパチンコを行った。パチンコ店を経営していたのは日本人のため、パチンコで儲けたことを「日本人から金をぶんどった」と発言し、一時は財布の窃盗犯であることをほぼ確定視されてしまう。そのうえ、ビーチを歩き回っている最中に水着姿の女性の胸や尻を盗撮していたため、盗撮犯にもなってしまう。(ただし、ビーチで監視していたハズのトーレスがそのことに言及しなかったこともトーレスの犯行を暴く一端となった。)結局、犯人はトーレスだったが店での騒ぎや女性に対する盗撮、トーレスに対する傷害など様々な罪が重なったため不名誉除隊されたうえに罰金を追徴されるらしい。ちなみに本人は軍を退職金なしの不名誉除隊されて本土に送り返されることはむしろ望んでいたぐらいだが、罰金は困るためパチンコのことを口に出せなかった。窃盗犯ではなかったがやってることはかなりクズである。


・モグリッジ、アトキンズ
それぞれ、海軍の中尉と少尉でサマビルの上官。レイに対して協力的ではないが、サマビルから引き出した情報をレイに伝えた。なおサマビルの部屋は事前に調査し、盗まれた財布などを持っていないことは知っていた。モグリッジは内心レイに協力しきれないことを詫びている様子があり、真面目に働いている軍人の信用まで下げないでほしいと懇願した。


・館川結衣
財布とパスポートに加え、SDカードさらに最も大事にしていた婚約指輪まで帰ってきたことに喜びを露わにしていた。彼女は結婚目前の婚約者であり、SDカードの中身も旅行の写真でなく、結婚相手及び式場の写真であった。今回の旅行ではあやうくこれらを失う散々な目に遭ったが、今後の人生の糧にし幸せに生きてほしい。


・レイ・ヒガシヤマ
トーレスを抑える際に彼に散々殴られ蹴られ顔中血だらけになるほどの大けがを負ったが、それでも気を抜かずパトカーが到着するまでトーレスに拳銃を向け続けた。結衣と結ばれることはなかったが、今回は充分な活躍をしており、デニスから誇りに思うと言われた。


・デニス・ヒガシヤマ
レイの今回の活躍を誇りに思うと伝え、ゲンゾーに対しレイがどれだけ立派だったかしっかり伝えると宣言した。