夕霧千尋の人生日記

大学生→社会人が小説・ゲームその他など自分の好きなことを書き綴ります

グアムの探偵 「グアムに蝉はいない」

こんにちは。 夕霧千尋です。

 

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グアムの探偵 第4回です。今回は私が特に気に入っているお話です。スケールの大きさが気に入ってるし、トリックも面白いです。このタイトルも一見不思議ですが最後まで見るとその意味がよくわかります。

 

「グアムに蝉はいない」
この話は1巻の3話に掲載されている。様々な説があるが、グアムに蝉はいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「孫のお前が成長し、きちんと仕事をこなすぐらい立派になったと実感できれば、それが何よりのプレゼントだと親父はいっている」
 

 

 

 

 

 

 

 


以下、ネタバレ注意
<あらすじ>
レイはパセオ公園で騒音がするという依頼を受けて、現地に向かった。現地に着くとボートの塗装や修理を生業としているマイスという男が詳細を話してくれた。彼によるとグアム大学の韓国人学生たちが海で実験を行っておりその実験のために騒音が発生しているという。さほど大きな音でもなく、学生と直接話したところ海水中の音速が環境によりどう変化するかの実験中で大学や公園の許可はとっているという。それでも食い下がるマイスに対し、夜8時には音を止めるということで何とか話はまとまった。その後、事務所に帰ろうとしたレイの下にデニスから連絡が入る。空軍大尉のナイジェル・マクミランがレイ・ヒガシヤマと話したがっているから会ってほしいというものだった。マクミランとは1週間前に会っただけで深い仲ではないが疑問を持ちつつも空軍基地へ向かう。するとマクミラン大尉は自室に引きこもって誰とも話そうとせず、レイとだけなら話すと言っているらしい。部屋に入ってレイが引きこもっている理由を訊こうにものらりくらりとはぐらかされ、最終的にビールやつまみの買い出しに行かされてしまった。一体なぜマクミラン大佐は引きこもっているのか?そして、話し相手にレイを指名したのはなぜなのか?


<登場人物>
・レイ・ヒガシヤマ
イーストマウンテンリサーチ社の三代目。今回はマイスとグアム大学の学生の仲裁に加え、マクミラン大佐の説得と言う二つの案件を抱え、あちこちを走り回ることになる苦労人。さらにゲンゾーとエヴァの結婚記念日でもあったため、そのためのプレゼントも用意しようとする。なんだかんだ祖父思いの孫である。


・デニス・ヒガシヤマ

イーストマウンテンリサーチ社の副所長。レイとは別行動でマクミランの真意を探る。

 

・ゲンゾー・ヒガシヤマ
イーストマウンテンリサーチ社の所長。今回は結婚記念日でエヴァとデート中のため、出番なし。


・マイス
パセオ公園の近くでボートの塗装・修理を行うチャモロ人。グアム大学の韓国人学生による研究グループが実験で使っているボートのエンジン音を不快に感じ、探偵社に連絡したが、その音は大学と公園の規定で決められた音圧以下の小さな音だったため、レイに過剰反応だと呆れられた。何とかレイが大学生を説得し、夜8時で音を止めることを約束してくれたため、その場は治まった。


・イ・ハジン
グアム大学自然科学学部の韓国人学生で韓国人研究グループのリーダー格。彼を含め研究グループは男4人、女2人の6人で構成されている。ボートの上にエンジンを乗せ、エンジンの音を記録した水中録音により、海水中の環境の変化により音速がどう変わるのかデータを取っていた。レイの話を受け、夜八時で音を止めることを約束した。後にレイから盗聴器発見機にひっかからずに室内の音を聴く方法はないかと相談されたときにレーザー光線はどうかと提案したが、夜だとレーザー光線は気付かれやすいという理由で却下された。


・チョ・ヒジュン
グアム大学の韓国人学生の一人で研究グループの女性メンバー。暗算が得意だという。後にレイから盗聴器発見機にひっかからずに室内の音を聴く方法はないかと相談されたときにマップルジャクションはどうかと提案した。


・ナイジェル・マクミラン
アンダーソン空軍基地に勤める空軍大尉。1週間前にレイとホテルのラウンジで会った。白人で20代後半。ひげはない。そのときはブランデーをロックで煽って次々飲み、大尉の身分を軽率に明かすなど軍人とは言い難い態度だった。その後酔いつぶれたため、レイによってラウンジから連れ出され、空軍基地のゲート前まで連れていかれた。現在はなぜか自室に閉じこもって、レイ以外との会話の拒否し、レイとの会話もなにかと不安定。最終的にレイにパシリを頼んで部屋から追い出した。マクミランの上官によると情報を統括する部署の所属で履歴に関する書類は部外者には見せられない重要人物。以前から不安定で筋の通らない発言が多く、所持している拳銃で自殺しかねない状態だという。


・グレン・バルフォア
空軍少佐でマクミランの上官。レイにマクミランが引きこもった理由を訊かれたが、機密事項として話さなかった。


・ヘクター・レンドル
空軍警察の警部。彼もマクミラン大佐が引きこもる理由を聴かされていない。


・ビリー
肥満の黒人だが、レイやデニスと知り合いの情報屋。デデド周辺のきな臭い話に詳しい。下記の偽マクミラン接触した旨をデニスに話した。


・偽マクミラン
マクミランの名を騙り、あちこちで北朝鮮に亡命する方法を探るために裏社会の人々を頼っている謎の人物。マクミランとは年齢は近いが、顔は全く違い、目つきも鋭い。亡命の手土産に防衛戦略の要となるオンラインネットワークにハッキングする方法を知っていると言っている。


<以下さらなるネタバレ注意>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さすが大尉だ、機転がきくな。グアムには蝉がいない」

 

 

 

 

 

 

 

 

イートン・カスケン
マクミラン直属の部下で空軍中尉。1週間前にホテルのラウンジでレイと会ったのも、ずっと部屋に引きこもっていたのもこの男。正確にはカスケンは日中は勤務していたので部屋はほとんど無人であり、マクミランを刺激しないよう部屋が包囲されていないことを利用し、カスケンは空いた時間に入り口と逆の窓から入ってマクミランに成り済ました。レイに接触した理由はレイが探偵だと気づいたから。民間人が軍人とやすやすと対話するわけにはいかず、警察なら軍から直に情報を受け取れるので部屋に入れた時点で自分の正体がバレる危険がある。よってカスケンをマクミランと信じさせるには探偵が最も適していた。マクミランを部屋にいると信じさせた理由は本物のマクミラン北朝鮮に亡命するための時間を稼ぐため。マクミランは軍の理不尽な命令や暴力沙汰、弱者への責任転嫁などに嫌気がさしており、同じ理由で嫌気がさしていたカスケンに身代わりをさせて、軍の機密情報を手土産に北朝鮮へ渡ることを考えていた。


・ナイジェル・マクミラン
実はビリーと接触した偽マクミランこそ本物のマクミラン。彼は軍の内情に嫌気がさし、北朝鮮へ亡命を図っていた。そのために様々な方法を模索していた。実際はグアムのチンピラにそんな大それたことなどできるわけがなく、金だけむしり取られるのがオチだとレイは考えていた。しかし、実際には仮にも空軍大尉ともあろうものが、とある北朝鮮に亡命する方法を信じ、実行に移したらしい。その方法とは・・・?


・イ・ハジン(とその他の学生)
グアム大学の学生と言う立場を利用し、マクラミンを騙して軍の機密情報を手に入れ、金に換えようとしていた。海中の音速を測定する実験はカモフラージュであり、実際はエンジンを乗せたボートに乗っていた箱の中にはマクミランがいた。マクミランはハジンを始めとする韓国人研究グループと初めて会ったときから首謀者の素性を伏せるためと言う理由で目隠しをされたうえで北朝鮮に密航すると言われ、箱に入れられてボートに乗せられた。ボートを何日も航行させるわけにはいかないので、動力と関係ないエンジンを乗せて音だけを聴かせた。時計もスマホも金属探知機に引っかかるという理由で没収され、陽の光も遮断された箱の中では日数も長く感じるため、実際は3~4日しか経っていなくても北朝鮮に着くまでに十分な時間が過ぎたと錯覚させられる。日数が過ぎたらボートを引き上げてハガニアボートベイスンのトーチカの中に入れ、マクミランを箱から出して、朝鮮人民軍に成り済ました学生による取調べによって機密情報を聞き出す算段だった。しかし、マクミランは自分はイムジン河沿いにいて、草木のざわめきが聞こえるのに、蝉の声が聞こえないことを不審に思った。そのことを指摘されたハジンは夜は蝉が鳴かないと言ったが、蝉は夜でも鳴く。さらに北朝鮮は涼しいから夜は蝉が鳴かないと弁明したが、既に北朝鮮の割りに明らかに暑いことに気付いていたマクミランの疑いを強めることにしかならず、計画はとん挫した。その後、ある人物によってトーチカの中に閉じ込められてしまった。


・チョ・ヒジュン
グアム大学の学生として紛れ込んでいたが、その正体は本物の北朝鮮工作員。この一連の犯行を牽引していた。軍関係者しか知らない具体的な説明でマクミランを納得させ、偽密航させたが、計画がとん挫したことを知ると、マクミランを連れ出して、ハジン達を銃を用いて脅しながらトーチカに閉じ込めた。マクミランを人質として連れ、今度は本当に北朝鮮へ行くつもりだったが、レイたちに追いつかれると手榴弾を投げて足止め。しかし、レイに気を取られた隙にマクミランの反撃を受け、さらにレイによって肩関節まで固められ、完全に捕縛された。ちなみに彼女が言っていたマップルジャクションとは北朝鮮の軍事用語で対抗作戦を意味する。


・ナイジェル・マクミラン
蝉の声が聞こえないことに感づき、機密を話さなかったのはよかったが、この一連の行為はおそらく軍の規定に反しているため軍法会議にかけられるだろう。軍の生活に嫌気がさしていたとはいえ、よく共産主義の敵対国に亡命する気になったものである。また、万が一機密を話していればグアムが戦火に包まれる可能性もあった。そのことを承知だったかはわからないが、一般市民を戦争の戦火にさらす危険のある行為を行うとは軍人以前に人としての道を踏み外している。


・グレン・バルフォア、ヘクター・レンドル
二人とも途中までマクミランが韓国人学生ごときの話を信じるはずがないとしてレイの推理には半信半疑だったが、事件が解決するとデニスに握手を求め、グアムが核攻撃から守られたといっても過言でないとして感謝の意を示した。


・デニス・ヒガシヤマ
バルフォアとレンドルから事務所のボスだと思われ、握手を求められたが、真の貢献者が誰だか分っていため、真の貢献者であるレイに喜びの言葉をかけた。


・レイ・ヒガシヤマ
グアムを戦火にさらしかねない大犯罪を未然に防いだ功労者。その一方でヒジュを足止めする際にゲンゾーのために買ったお祝いのコーヒー豆を台無しにしてしまったことを悔いていたが、デニスから「親父が今後もグアムでコーヒーを飲めるのはお前のおかげさ」と言葉をかけられた。

 

それでは皆さん ごきげんよう