夕霧千尋の人生日記

大学生→社会人が小説・ゲームその他など自分の好きなことを書き綴ります

グアムの探偵 「ソリッド・シチュエーション」

こんにちは。夕霧千尋です。

前回に続き、私の好きな小説、「グアムの探偵」の話を紹介したいと思います。グアムの探偵は一巻につき、5つの短いエピソードで構成されていますので、その一つを紹介したいと思います。アットウィキ風に。

 

「ソリッド・シチュエーション」


「グアムの探偵」1巻の1話として掲載されている。ソリッドシチュエーションとは主人公が部屋の中に閉じこめられ、そこから脱出を図るタイプのホラー映画である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほざいてろ。干し草の中の針も同然だろうとかならず探し出してやる」

 

 

 

 

f:id:soulcrash:20191003160556j:plain

 

 


以下、ネタバレ

 

<あらすじ>
イーストマウンテンリサーチ社に佐伯結菜という女性が駆け込んできた。一緒に旅行に来た鈴本友里奈が失踪したのだという。同じ頃、鈴木友里奈はホテルのスイートルームのようだが、一切の扉にカギがかけられ、外部との連絡手段が絶たれた謎の部屋で目が覚めた。ある朝、草原を散歩し、木陰のベンチで休んでいたところ三十過ぎと思わしき、浅黒い顔の男にスプレーをかけられ、気が付いたらこの部屋にいた。棚や冷蔵庫は施錠され、蛇口から水も出ない奇妙な部屋。室内を動きまわっていると突然、テレビにCGの顔が現れ、「白のワンピースに着替えれば水道が使用可能になる」という指示を受けた。その後も鈴木友里奈に次々と下される謎の指令。犯人は一体何者なのか。何のために友里奈を拉致したのか。レイはこの謎の解明に乗り出す。

 

<登場人物>

 

・レイ・ヒガシヤマ
イーストマウンテンリサーチ社の三代目。結菜からの依頼を受け、事件の解明のために病院やゴドウィンを結菜と共にかける


・デニス・ヒガシヤマ
レイの父でイーストマウンテンリサーチ社の副所長。偽の医者に化けた男を調べ、車のナンバーを突き止めた。


・ゲンゾー・ヒガシヤマ
イーストマウンリサーチ社の所長でレイの祖父。冒頭ではJDIという会社の社員が宝くじに当たったというニュースに感化され、仕事中にも関わらず、レイに宝くじを買わせに行こうとさせていたが、調査が始まると老人の立場を利用して病院に潜り込み、偽医者の存在を突き止めた


・佐伯結菜(さえきゆな)
イーストマウンリサーチ社に相談に来た女性。コンドミニアムに一緒に泊まっていたはずの友里奈が失踪したことに驚き、不安を隠せない。本来はコンドニミアムで待機するよう言われていたが、無理を言ってレイの調査に同行した。


・鈴木友里奈(すずきゆりな)
結菜と一緒にグアムに旅行に来ていたはずが、いつの間にか謎の部屋に拉致され、食事や水と引き換えにワンピースに着替えたり壁の一点を見つめるよう指示され、仕方なく従っている。グアムに来ることは事前にインスタグラムに挙げていたらしい。


・ジョニー
友里奈が拉致された部屋のテレビに映し出されたCGの顔の名前。正体は不明だが、友里奈に次々と指示を出してくる。一方で友里奈の求めに応じて、エアコンの温度を調整するなど気遣いも見せる。


・従者
友里奈の求めに応じてジョニーが送り込む四十歳くらいで眼鏡をかけたアジア人男性。何もしゃべらず、友里奈の指示に忠実に従い、指示の達成をサポートする。1日3回までしか使えない。ジョニーにただ金で雇われただけの人物で友里奈に危害を加えるつもりはないが、脱出の手引きをするつもりもないらしい。


・ヴィンス
友里奈にハロタンのスプレーをかけ、眠らせて誘拐した人物。こいつもある人物の依頼と金を受け、誘拐を実行した人物で黒幕ではないらしい。パートナーの女性と共に日系夫婦と言う偽装を働いて不法滞在していた。


・秋沢朱莉・橋本庄司・吉崎颯太(あきざわあかり・はしもとしょうじ・よしざきそうた)
監禁されている友里奈の下に励ましと生き抜くための術を書いた手紙を自分の写真付きで届けてくれる人物。グアム・イコーリティ・アソシエーションという団体の活動員らしい。友里奈は最初はこの人物はジョニーのでっち上げで、手紙もジョニーが用意したものと考えていたが、その手紙が心の支えとなったため、彼らを信頼することとなった。彼らによると既に逮捕状が出ており、ジョニーの逮捕まであと数日だという。

 

メアリー・スー
冒頭でゲンゾーが気にしていた宝くじの当選者に着けられていたあだ名。このあだ名がついていたことから当選者は女性と思われる。

 

<ゲームの内容>
友里奈を謎の部屋に閉じ込め、壁の一点を見つめたり、ピンポンをさせたり、従者の耳の中にある天然ダイヤモンドを探させるなど謎の指令を次々と出しているその課題をクリアする度に食事や水を与えているが、部屋の外に出す機会は一切ない。

以下、更なるネタバレ

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

「俗に思春期未卒業症候群とも呼ばれます。精神状態が未熟なままで中年になったんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

但地音生(たんじねお)
この事件の黒幕。友里奈の前には従者として現れ、金で雇われているに過ぎない人物を装っていたが、実際はこの男がジョニーと一人二役を演じていた。元々、40代なのに会社でも出世できず、友達もいなかったため、嘘で自分を大きく見せ、同僚からは馬鹿にされていた。彼につけられていたメアリー・スーというあだ名は夢見がちで妄想癖の女性に対する蔑称だが、彼は女々しい性格だったためにそうよばれていた。今回の犯行の動機は自分の嘘を上塗りするため。彼は友里奈がインスタグラムにあげていた画像を引っ張り、櫻井咲良という偽名をつけて自分の恋人と偽っていた。同僚からは見え見えの嘘であることがバレていたが、そんなときに彼は宝くじで大金を手に入れた。本来なら大金が当たれば、十分周囲を見返せると思うのだが、但地は既に恋人がいるというウソをついていたため、見返しきれなかった。そんなとき、インスタで友里奈がグアムに来ることを知った彼は彼女をチンピラに頼んで拉致させ、料理を作ったり、ピンポンで遊んだり、耳掃除をするように仕向け、その写真をピンボールカメラで撮っていた。最終的には友里奈を亡き者にしたうえでチンピラに死体の処分をさせ、自分は彼女に色仕掛けで騙され、金を盗まれた被害者を装うつもりでいた。しかし、すんでのところでレイが助けに入ったため、彼女は一命をとりとめた。この説明からわかるようにどうしようもないクズである。嘘の上塗りのためだけに大金をつぎ込んでこんな計画を立てる様はレイから思春期未卒業と揶揄された。


鈴木友里奈
旅行の予定をインスタに載せたために但地に狙われたという迂闊さはあったものの全く悪くはない今回の被害者。救出された後もしばらくは情緒混乱状態に陥っていたが、しばらくして回復。総領事館と旅行会社の計らいで結菜ともども滞在日数が伸びたため、もうしばらくグアムを満喫することになった。ちなみに旅行に行くことをSNSに挙げると拉致まではさすがになくとも留守中の家を空き巣に狙われる可能性はある。十分に注意しよう。


飯田遥香・林勝次・森尾祐輔(いいだはるか・はやしかつじ・もりおゆうすけ)
但地と同じJDIに勤める社員。みんな若いが、但地がずっと出世できなかったため、彼とは同僚だった。彼を嘘つき呼ばわりしてバカにしていた社員のため、今回の事件に若干責任があると言えなくもない。但地が届けた手紙を見て、友里奈は彼らをグアム・イコーリティ・アソシエーションの秋沢朱莉・橋本庄司・吉崎颯太と信じ、部屋から出た後、彼らを見たときは感謝の気持ちを込め、手を振った。しかし、それこそ但地の狙いであり、彼は飯田らに自分と恋人が仲良くドライブしている姿を見せることが目的であった。


・レイ・ヒガシヤマ
彼の活躍により、一人の女性の命が救われたが、調査中ににある失敗をしていたという。それは結菜に対し、自分は味方(friend)だと伝えようとして、日本語で友達と言ってしまったことである。この発言で結菜との仲を必要以上に深めてしまったことについて、後にデニスやゲンゾーからこってり絞られたという。

 

 

グアムの探偵 (角川文庫)

グアムの探偵 (角川文庫)

 

 

それでは皆さん。ごきげんよう